配筋検査は、鉄筋が設計図通りに施工されているかを確認する重要な工程です。しかし、人手による計測や記録には多くの時間と労力がかかり、人手不足が進む建設現場では省人化が課題となっています。本記事では、配筋検査を省人化する方法や、システム導入時のポイントを解説します。
建設業就業者数は1997年の685万人をピークに減少が続いており、2023年平均では483万人と、ピーク時から約3割減少しています。また、55歳以上の就業者が約36%を占める一方、29歳以下は約12%にとどまるなど、高齢化と若年入職者の不足も大きな課題となっています。
建設業の年間賃金は2022年時点で417万円と全産業平均(494万円)を下回り、年間労働時間は2,022時間と全産業平均(1,954時間)より長い状況です。このような処遇面の課題も、人材確保を難しくする要因の一つとされています。
さらに、2024年4月からは建設業にも時間外労働の上限規制が適用されました。限られた人員・労働時間のなかで検査品質を維持するため、ICTやAIを活用した生産性向上への取り組みが求められており、配筋検査においても省人化への関心が高まっています。
熟練した検査員であれば見落としなく確認できる箇所も、経験の浅い担当者では判断基準にばらつきが出やすく、検査品質が個人のスキルに依存してしまいます。
鉄筋の間隔やかぶり厚さをメジャーで一つひとつ実測し、黒板を設置して撮影し、後日帳票にまとめるといった作業は工数がかかり、限られた人員では現場全体をカバーしきれないケースもあります。
手作業での計測・転記・撮影漏れは、確認不足や記録ミスにつながりやすく、万が一不備を見落としたまま次工程に進んでしまうと、手戻りや是正対応で追加の人員・工数が必要になります。
AIカメラで撮影するだけで鉄筋の本数・間隔・かぶり厚さなどを自動的に検出・計測できるシステムが増えています。これまで複数人・長時間かけて行っていた実測作業を、少人数かつ短時間で完了できるようになります。
撮影と同時に工事名・部位名などの情報を電子小黒板に反映し、検査結果をそのまま帳票として自動出力できる仕組みも一般的になっています。手書きや事務所での転記作業が不要になり、検査担当者の事後作業を大幅に削減できます。
検査写真や計測データ、帳票をクラウド上で一元管理することで、現場・事務所・発注者間の情報共有がスムーズになります。紙の書類を探す、印刷する、郵送するといった手間がなくなり、管理担当の人員も最小限で運用できます。
Web会議システムなどを使った遠隔臨場と組み合わせれば、監督員や施主が現地に赴かなくても検査に立ち会うことが可能になります。移動時間や日程調整にかかる人的リソースの削減にもつながります。
配筋検査システムには、建築現場向け、トンネルなど湾曲構造向け、橋梁向けなど、現場の特性に応じたタイプがあります。省人化の効果を最大化するには、自社の現場規模・工種に合ったシステムを選ぶことが重要です。
また、システムを導入しても、AIによる自動判定だけに頼り切るのではなく、人による最終確認フローと組み合わせて運用することが推奨されています。加えて、操作に不慣れな担当者でも扱えるよう、導入初期のマニュアル整備や社内教育など、運用体制を合わせて整えておくことも省人化を定着させるうえで欠かせません。
建設業界全体で人手不足・高齢化が進むなか、配筋検査の現場でも、人手に依存した検査体制の見直しが求められています。AIカメラによる自動計測や電子小黒板・帳票の自動作成、クラウドでのデータ一元管理といった機能を備えた配筋検査システムを活用することで、少人数でも検査品質を維持しながら省人化を図ることが可能です。自社の現場に合ったシステムを選び、運用体制を整えることが、省人化を成功させる第一歩といえるでしょう。
配筋検査とひと口に言っても、その方法は現場によって異なります。このサイトでは、商業施設・トンネル・橋梁といった、規模や構造に特徴がある現場別に、14社※の製品からおすすめの配筋検査システム3選をご紹介します。
※2025年6月19日編集チーム調べ:「配筋検査システム」とGoogleで検索をして表示された配筋検査システムを提供する会社を選定

従来の検知技術では困難な奥行きのある配筋をAIカメラが正確に認識。精度の高い検査が必要な商業施設でも、熟練度に依存せずに検査ができます。
鉄筋量が多い大型・多層階の施設でもARスケールで楽に検査写真を撮影可能。画像検索機能や進捗確認の見やすさによって、探す手間を改善し作業時間を約4~5割削減※2します。

湾曲構造のトンネルでも鉄筋の本数や位置を正確に把握。誤差が出やすい曲面も「湾曲計測モード」で容易に測定が可能で、位置調整の手間が省けます。
トンネル内の天井が低い現場でも、検査機が軽量で分離構造のため、取り回しがスムーズ。足場の限られた狭所でも位置調整などに時間を取られず、効率的に検査ができます。

ドローンを撮影に活用することで、高所作業を伴う橋梁検査の作業負担を大幅に軽減。手作業中心の検査に比べて、約75%※4の省力化を実現したという事例もあります。
これまでの測定方法では難しいPC橋や鋼床版の複合構造にも、AIを用いた画像解析で対応可能。橋長全体の検査・記録が効率的になり、検査品質を向上させます。
※1 2025年9月時点
参照元:プライム ライフ テクノロジーズ公式HP(https://www.consait.com/)
共同開発に参画したゼネコン21社:青木あすなろ建設株式会社/ 株式会社淺沼組/ 株式会社安藤・間株式会社奥村組/ 北野建設株式会社/株式会社熊谷組/ 五洋建設株式会社/ 佐藤工業株式会社/ 大末建設株式会社/ 髙松建設株式会社/ 鉄建建設株式会社/ 東急建設株式会社/ 戸田建設株式会社/ 飛島建設株式会社/ 西松建設株式会社/ 日本国土開発株式会社/ 株式会社長谷工コーポレーション/ 株式会社ピーエス三菱/ 株式会社松村組/ 村本建設株式会社/ 矢作建設工業株式会社
※2参照元:プライム ライフ テクノロジーズ公式HP(https://www.youtube.com/watch?v=ryLovLWmvz0&t=7s)
※3参照元:三菱電機エンジニアリング公式HP(https://www.mee.co.jp/kaisyaan/press/prs250306.html)
ただし過検出を含み、撮影条件等によります。
※4参照元:JFEエンジニアリング公式HP(https://www.jfe-eng.co.jp/news/2020/20200909.html)