配筋検査は第三者に委託・代行できる?

目次

建設現場における「配筋検査」は、鉄筋コンクリート構造物の安全性と品質を左右する重要なプロセスです。近年、この配筋検査を外部の専門業者へ委託することが可能で、その動きが広がりを見せています。

本記事では、配筋検査の外部委託に対応する代行業者の特徴と実態、具体的なサービス内容、導入によるメリット・デメリットについて解説。現場の検査業務を支援する手法について詳しく紹介します。

配筋検査を請け負う
第三者代行サービス

JONE(日本建築検査機構)の
配筋検査代行

主に戸建てや低層集合住宅を対象に、配筋検査を含む自主検査代行サービスを展開。設計図との整合確認、必要部位の寸法計測、写真撮影、報告書作成までを一括で対応する体制が整えられており、住宅瑕疵担保責任保険法人が求める報告書形式への対応も行われています。

小規模案件での活用が中心ですが、基礎配筋・壁・梁など複数工程への対応が可能。報告書は施工記録としても活用されています。

エムテックの建築検査サービス

中高層建築や土木構造物を対象とした配筋検査の代行サービスを提供しており、大手ゼネコンの現場でも利用されています。

専属の検査員チームを社内育成し、基礎・柱・梁・スラブ等の検査に対応する体制を整備。検査品質の均一化是正指導の補助を目的としたサービスを展開し、年間多数の検査を担当する実績があります。中間検査や完了検査への立ち会いにも対応可能です。

配筋検査を
外部委託するメリット

専門知識を持った第三者による
客観的な検査

配筋検査を外部の専門業者に委託することで、構造図や仕様書に基づいた客観的な確認が可能です。多くの業者では、一級建築士や施工管理技士といった有資格者が検査を担当しており、鉄筋径やピッチ、かぶり厚さなど、施工品質に直結する項目を的確にチェックする体制が整っています。

社内検査だけでは見落とされやすい不適合の早期発見にもつながり、施工ミスの抑制に貢献します。

現場負担の軽減と
記録業務の効率化

第三者検査員が検査・撮影・報告書作成までを一括して担当することで、現場監督や施工管理者の業務負荷を大幅に軽減できます。とくに鉄筋本数や寸法のチェックは時間と労力を要する作業です。外部委託をすることで、基幹業務に人員を集中できるでしょう。検査写真にはスケール情報や部位記録が添付され、帳票作成にそのまま活用できるため、記録業務の効率化にもつながります。

保険や検査機関との連携が
スムーズになる場合も

住宅瑕疵担保責任保険の検査対象となる基礎配筋は、外部委託業者が保険法人の報告書形式に対応して検査記録を作成する例もあります。たとえば、JIOの様式に準拠したチェックリストを代行業者が用意し、保険検査機関との連携を補助するサービスがあります。

建築主や施主への説明資料として報告書を活用できる場合もあり、エビデンスが残せるという点で有利です。

配筋検査を
外部委託するデメリット

委託コストが発生する

配筋検査を外部に委託する場合、1回あたり数万円から、大規模案件では数十万円規模の費用が発生することも。

たとえば、戸建住宅の基礎検査では5〜7万円程度が一般的とされますが、建物規模や検査回数によっては見積もり金額が大きくなります。自社の人的リソースを活用した場合と比較して、短期的にはコスト高に映る可能性があるため、費用対効果の検討が不可欠です。

現場の設計意図を完全には
把握しきれないことも

第三者の検査員は、設計者や施工管理者とは異なり、対象物件の設計背景や変更履歴まですべてを把握しているわけではありません。設計図面に基づくチェックは可能でも、特定部位に対する設計上の配慮や重点確認箇所といった意図までは共有されにくいため、検査精度に影響が出るリスクも存在します。

委託先との連携不足による
確認漏れのリスク

外部検査員の導入によって、現場内に新たな関係者が加わることになります。是正箇所の確認フローを明確にしないまま検査を進めると、「誰が」「どこを」「いつ直したか」が不明確になるケースも。第三者の検査を活かすには、現場への立入り調整や是正指示の伝達手順、報告書の扱いなど、関係者間での情報共有が重要です。

現場のリソース不足なら
システム導入という手も

配筋検査記録を効率化する
システム・アプリ

配筋検査業務の効率化を目的としたシステム・アプリは、人的な検査負担を軽減しつつ、記録業務の信頼性を高める手段として注目されています。

配筋検査は記録や報告に多くの時間と人手を要しますが、システム・アプリを活用すれば撮影データを自動整理し、図面との照合や報告書作成も効率化できます。現場のリソース不足を補い、検査精度を保ちながら業務をスピーディーに進められる点が大きなメリットです。

【AI機能もあり】
配筋検査システム・アプリ
14社を調査しました

本サイトでは、AIを活用した配筋検査システムを「商業施設」「トンネル」「橋梁」の3つの現場別に厳選してご紹介しています。それぞれの対応しているAIの機能や選ばれる理由・導入事例もまとめていますので、ぜひご参考ください。

※2025年6月19日編集チーム調べ:「配筋検査システム」とGoogleで検索をして表示された配筋検査システムを提供する会社を選定

AIや画像認識を活用した
自動検査支援ツールも登場

近年では、AIや画像解析技術を活用して配筋状態を自動判定する支援ツールも登場しています。従来は目視や手作業で行っていた確認作業を短時間かつ効率的に記録できるのが特徴で、検査品質の向上と現場スタッフの負担軽減を目指す現場におすすめです。

こちらのページでは、実際にAIを活用した配筋検査システムを導入した企業の事例を紹介しています。ぜひチェックしてみてください。

【現場別】配筋検査システム
おすすめ3選

配筋検査とひと口に言っても、その方法は現場によって異なります。このサイトでは、商業施設・トンネル・橋梁といった、規模や構造に特徴がある現場別に、14社の製品からおすすめの配筋検査システム3選をご紹介します。

※2025年6月19日編集チーム調べ:「配筋検査システム」とGoogleで検索をして表示された配筋検査システムを提供する会社を選定

商業施設向け
ゼネコン21社※1
共同開発された建築対応型

CONSAIT Pro配筋検査

プライム ライフ テクノロジーズ公式HP
引用元:プライム ライフ テクノロジーズ公式HP
(https://www.consait.com/)
商業施設向けの理由

従来の検知技術では困難な奥行きのある配筋をAIカメラが正確に認識。精度の高い検査が必要な商業施設でも、熟練度に依存せずに検査ができます。

鉄筋量が多い大型・多層階の施設でもARスケールで楽に検査写真を撮影可能。画像検索機能や進捗確認の見やすさによって、探す手間を改善し作業時間を約4~5割削減※2します。

トンネル向け
湾曲面も
検出率約100%※3を見込める

Field Bar FB-200

三菱電機エンジニアリング公式HP
引用元:三菱電機エンジニアリング公式HP
(https://www.mee.co.jp/kaisyaan/press/prs250306.html)
トンネル向けの理由

湾曲構造のトンネルでも鉄筋の本数や位置を正確に把握。誤差が出やすい曲面も「湾曲計測モード」で容易に測定が可能で、位置調整の手間が省けます。

トンネル内の天井が低い現場でも、検査機が軽量で分離構造のため、取り回しがスムーズ。足場の限られた狭所でも位置調整などに時間を取られず、効率的に検査ができます。

橋梁向け
橋梁工事向けに
開発された

自動配筋検査AIシステム

JFEエンジニアリング公式HP
引用元:JFEエンジニアリング公式HP
(https://www.jfe-eng.co.jp/dx/case-2.html)
橋梁向けの理由

ドローンを撮影に活用することで、高所作業を伴う橋梁検査の作業負担を大幅に軽減。手作業中心の検査に比べて、約75%※4の省力化を実現したという事例もあります。

これまでの測定方法では難しいPC橋や鋼床版の複合構造にも、AIを用いた画像解析で対応可能。橋長全体の検査・記録が効率的になり、検査品質を向上させます。

※1 2025年9月時点
参照元:プライム ライフ テクノロジーズ公式HP(https://www.consait.com/
共同開発に参画したゼネコン21社:青木あすなろ建設株式会社/ 株式会社淺沼組/ 株式会社安藤・間株式会社奥村組/ 北野建設株式会社/株式会社熊谷組/ 五洋建設株式会社/ 佐藤工業株式会社/ 大末建設株式会社/ 髙松建設株式会社/ 鉄建建設株式会社/ 東急建設株式会社/ 戸田建設株式会社/ 飛島建設株式会社/ 西松建設株式会社/ 日本国土開発株式会社/ 株式会社長谷工コーポレーション/ 株式会社ピーエス三菱/ 株式会社松村組/ 村本建設株式会社/ 矢作建設工業株式会社
※2参照元:プライム ライフ テクノロジーズ公式HP(https://www.youtube.com/watch?v=ryLovLWmvz0&t=7s
※3参照元:三菱電機エンジニアリング公式HP(https://www.mee.co.jp/kaisyaan/press/prs250306.html
ただし過検出を含み、撮影条件等によります。
※4参照元:JFEエンジニアリング公式HP(https://www.jfe-eng.co.jp/news/2020/20200909.html

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