人手不足や外注活用が進むにつれて、検査担当の選定基準が曖昧なまま実務が進められているケースも少なくありません。「そもそも、配筋検査は有資格者しか実施できないのではないか」と不安に思われる方もいらっしゃるでしょう。本記事では、配筋検査に関連する資格について紹介します。
配筋検査の実施にあたって、法律上で明確に定められた「必須資格」は存在しません。建築基準法や建設業法などにおいても、配筋検査を行う担当者に特定の国家資格を要求する規定はなく、形式的には新人社員であっても検査に携わることが可能です。
実際の現場では構造上の重要工程である配筋検査において、鉄筋の径・本数・間隔・かぶり厚さなどの誤りが建物の耐久性に直結するため、実務上は一級建築士や1級施工管理技士などの有資格者が対応するケースが一般的です。新人のみで任されることはほとんどなく、熟練技術者による検査が求められます。
住宅分野では、品確法(住宅品質確保促進法)に基づき、瑕疵担保責任保険への加入に伴う第三者検査が義務化されました。保険法人の認定検査員による基礎配筋検査が実施されます。法定資格ではないものの、保険制度に準じた資格制度・研修が事実上の検査資格として機能しています。
配筋検査に必須資格は存在しませんが、検査の信頼性を高めるために取得が望ましい民間資格があります。とくに、非破壊検査の手法を用いた配筋探査を行う場面では専門技術と判定能力が問われるため、下記のような民間資格の取得者が現場で活躍しています。
構造物内部に埋設された鉄筋の位置やかぶり厚さを非破壊で測定できる「電磁波レーダ法」は、道路や橋梁などの土木構造物を対象とした配筋調査に多用されます。
電磁波レーダ法に対応する資格として挙げられるのが、一般社団法人非破壊検査協会が認定する「コンクリート構造物の配筋探査技術者(土木・電磁波レーダ法)」。資格取得者は、電磁波レーダ機器を用いた非破壊検査において、測定手順および波形解析に関する基礎的な知識と操作技能を有する技術者として位置づけられます。
鉄筋の存在箇所に電流を誘導して位置を検出する非破壊調査法が「電磁誘導法」。レーダ法に比べて、浅層部に特化した測定に向いており、構造物の表層部に限定した検査や狭小部の診断に用いられます。
電磁誘導法に対応する資格として挙げられるのが、「コンクリート構造物の配筋探査技術者資格(土木・電磁誘導法)」。有資格者は、探査手順および結果評価において、定められた実施基準や解析手法に則った対応が求められる技術者となります。
建築分野向けの「コンクリート構造物の配筋探査技術者資格」は、建築構造物における鉄筋の位置やかぶり厚さを非破壊で測定する能力を証明する民間資格です。
有資格者は、電磁波レーダ法・電磁誘導法いずれかの探査技術に関する標準化された操作手順、測定条件の判断、波形の解析といった実務知識を備え、建築施工図との照合や測定結果の評価・判定を正確に行う役割を担います。
とくに、マンションやビルなど、かぶり厚さ不足が耐久性に影響する構造物においては、検査信頼性の確保を図るうえで有資格者の配置が重視されています。
配筋検査に法定資格が不要であるという事実は、一見すると柔軟な人員配置が可能な利点に見えます。しかし裏を返せば、担当者の知識や経験の差によって検査品質が大きくばらつくということです。とくに大型物件や立体構造物を扱う現場では、寸法や位置の読み違い、記録ミスなどがそのまま構造欠陥や工程遅延につながるかもしれません。
検査の属人性を排除する手段として、近年では配筋検査システムの導入が注目されています。たとえば、AIカメラ搭載型システムでは、鉄筋の径・本数・ピッチを自動計測し、設計データと照合して帳票を即時に生成する仕組みを採用。担当者の経験に左右されない品質の検査記録が残せます。
とくに人手不足や若手主体の現場では、「誰がやっても同じ」品質の検査ができる仕組みが不可欠です。資格を問わず検査に携われるからこそ、配筋検査システムは技術的信頼性を担保する手段として現実的な選択肢といえます。
本サイトでは、検査品質の向上と業務効率化を実現した配筋検査システムを「商業施設」「トンネル」「橋梁」の3つの現場別に厳選してご紹介しています。それぞれの対応しているAIの機能や選ばれる理由・導入事例もまとめていますので、ぜひご参考ください。
※2025年6月19日編集チーム調べ:「配筋検査システム」とGoogleで検索をして表示された配筋検査システムを提供する会社を選定
配筋検査とひと口に言っても、その方法は現場によって異なります。このサイトでは、商業施設・トンネル・橋梁といった、規模や構造に特徴がある現場別に、14社※の製品からおすすめの配筋検査システム3選をご紹介します。
※2025年6月19日編集チーム調べ:「配筋検査システム」とGoogleで検索をして表示された配筋検査システムを提供する会社を選定

従来の検知技術では困難な奥行きのある配筋をAIカメラが正確に認識。精度の高い検査が必要な商業施設でも、熟練度に依存せずに検査ができます。
鉄筋量が多い大型・多層階の施設でもARスケールで楽に検査写真を撮影可能。画像検索機能や進捗確認の見やすさによって、探す手間を改善し作業時間を約4~5割削減※2します。

湾曲構造のトンネルでも鉄筋の本数や位置を正確に把握。誤差が出やすい曲面も「湾曲計測モード」で容易に測定が可能で、位置調整の手間が省けます。
トンネル内の天井が低い現場でも、検査機が軽量で分離構造のため、取り回しがスムーズ。足場の限られた狭所でも位置調整などに時間を取られず、効率的に検査ができます。

ドローンを撮影に活用することで、高所作業を伴う橋梁検査の作業負担を大幅に軽減。手作業中心の検査に比べて、約75%※4の省力化を実現したという事例もあります。
これまでの測定方法では難しいPC橋や鋼床版の複合構造にも、AIを用いた画像解析で対応可能。橋長全体の検査・記録が効率的になり、検査品質を向上させます。
※1 2025年9月時点
参照元:プライム ライフ テクノロジーズ公式HP(https://www.consait.com/)
共同開発に参画したゼネコン21社:青木あすなろ建設株式会社/ 株式会社淺沼組/ 株式会社安藤・間株式会社奥村組/ 北野建設株式会社/株式会社熊谷組/ 五洋建設株式会社/ 佐藤工業株式会社/ 大末建設株式会社/ 髙松建設株式会社/ 鉄建建設株式会社/ 東急建設株式会社/ 戸田建設株式会社/ 飛島建設株式会社/ 西松建設株式会社/ 日本国土開発株式会社/ 株式会社長谷工コーポレーション/ 株式会社ピーエス三菱/ 株式会社松村組/ 村本建設株式会社/ 矢作建設工業株式会社
※2参照元:プライム ライフ テクノロジーズ公式HP(https://www.youtube.com/watch?v=ryLovLWmvz0&t=7s)
※3参照元:三菱電機エンジニアリング公式HP(https://www.mee.co.jp/kaisyaan/press/prs250306.html)
ただし過検出を含み、撮影条件等によります。
※4参照元:JFEエンジニアリング公式HP(https://www.jfe-eng.co.jp/news/2020/20200909.html)