地下タンクなど危険物施設の配筋検査を行うには?

目次

危険物を取り扱う施設では、火災や爆発のリスクを防ぐために、高度な安全管理が求められます。なかでも、地下タンク等の構造物における「配筋検査」は、施設の安全性を確保するうえで重要な工程です。

本記事では、危険物施設における配筋検査の基本的な内容と、各自治体における運用事例を紹介します。

危険物施設の
配筋検査・構造検査とは

配筋検査・構造検査は、消防法の構造基準に基づく行政検査です。各自治体では、設置許可後の設計審査に加えて、中間検査や完成検査を通じて技術基準への適合性を確認する必要があります。とくに、地下タンクといった埋設構造物では後工程で是正するのが困難であるため、初期段階の検査精度が重視されます。

検査対象は、基礎スラブ・壁・天井などの構造部。近年は、AIやICTを活用した検査支援ツールの導入も進み、複雑な立体構造への対応や、検査記録の精度向上が図られる事例が増えています。

各自治体の方針や事例を紹介

川越地区消防組合における配筋検査

地下タンクの設置にあたっては、完成検査前に配筋状況を確認する中間検査が求められます。検査対象はタンク基礎部が中心。申請者は事前に消防との打合せを行い、日程を調整のうえで検査を実施します。

なお、現場立会いが難しい場合には、所定の撮影要領に従って撮影された写真を提出して確認を代替することも認められています。

佐賀中部広域連合における配筋検査

危険物施設に関する審査基準を独自に定めており、タンク基礎・防油堤・スラブといった部位ごとに配筋検査の対象・項目が整理されています。検査結果は記録として文書化され、原則として現場写真の提出が必要です。

※参照元:【PDF】佐賀中部広域連合(https://www.chubu.saga.saga.jp/var/rev0/0004/7539/122225192141.pdf

浜松市における配筋検査

危険物施設に関する各種申請手続きの一部について、Graffer社が提供するオンライン申請システムを導入※1しています。配筋検査の申請様式も電子化されており、現場写真の提出によって確認を行う方式を採用。撮影に使用する小黒板の表示内容や撮影位置に関する指示も、具体的な運用資料として公開されています※2

※2参照元:【PDF】浜松市建築工事電子納品写真作成要領(https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/documents/162983/shashin-2024.pdf

福山市における配筋検査

「危険物施設等審査・運用基準」に基づいて、配筋検査を現場立会いまたは写真提出により実施する体制が整えられています。検査対象は主にタンク基礎部で、施工段階での状況を確認する手段として、写真による記録提出が必要です。

※参照元:【PDF】危険物施設等審査・運用基準(https://www.city.fukuyama.hiroshima.jp/uploaded/attachment/289007.pdf

福岡市消防局における配筋検査

危険物施設に関する各種申請手続きを対象に、許可・決裁・検査予約・結果報告までを一貫してオンライン上で行える仕組みが導入されています※1

配筋検査に関しても、中間検査項目を整理したチェックリストや、写真ファイルのアップロード機能を用いる運用が整備されており、電子化による事務処理の効率化が図られています※2

※2参照元:春日・大野城・那珂川消防組合消防本部(https://fukuoka.kon119.or.jp/pdf/guideline/shinsashishin.pdf
現場の安全性と検査効率を
両立するなら配筋検査システム
の導入もおすすめ

地下タンクや危険物施設のように高い安全性が求められる現場では、わずかな検査漏れも重大なリスクにつながるため、配筋検査システムの活用が注目されています。

本サイトでは配筋検査システム14社を調査した結果から、現場の特性に合わせて活用しやすいおすすめシステムを現場別にご紹介。安全性の確保や検査効率化を図りたい方は、ぜひ現場条件に合ったシステム選びの参考にしてください。

※2025年6月19日編集チーム調べ:「配筋検査システム」とGoogleで検索をして表示された配筋検査システムを提供する会社を選定

消防庁通達による技術基準・
中間検査制度の概要

危険物施設における配筋検査などの構造確認は、消防庁が各消防本部に対して通知する「技術基準」をもとに実施されます。

中間検査は消防法上の義務ではありませんが、コンクリート打設後は内部構造を確認できないため、鉄筋配置の適否を確認する工程として、各自治体が重要視している工程です。特に隠ぺい部の施工品質を担保する観点から、施工段階での記録と確認を制度的に求める動きが広がっています。

たとえば「地下タンク及びタンク室の構造例について」では、鉄筋の配列や配置に関する確認事項が示されており、要点を踏まえた中間検査が各地で運用されています。

【現場別】配筋検査システム
おすすめ3選

配筋検査とひと口に言っても、その方法は現場によって異なります。このサイトでは、商業施設・トンネル・橋梁といった、規模や構造に特徴がある現場別に、14社の製品からおすすめの配筋検査システム3選をご紹介します。

※2025年6月19日編集チーム調べ:「配筋検査システム」とGoogleで検索をして表示された配筋検査システムを提供する会社を選定

商業施設向け
ゼネコン21社※1
共同開発された建築対応型

CONSAIT Pro配筋検査

プライム ライフ テクノロジーズ公式HP
引用元:プライム ライフ テクノロジーズ公式HP
(https://www.consait.com/)
商業施設向けの理由

従来の検知技術では困難な奥行きのある配筋をAIカメラが正確に認識。精度の高い検査が必要な商業施設でも、熟練度に依存せずに検査ができます。

鉄筋量が多い大型・多層階の施設でもARスケールで楽に検査写真を撮影可能。画像検索機能や進捗確認の見やすさによって、探す手間を改善し作業時間を約4~5割削減※2します。

トンネル向け
湾曲面も
検出率約100%※3を見込める

Field Bar FB-200

三菱電機エンジニアリング公式HP
引用元:三菱電機エンジニアリング公式HP
(https://www.mee.co.jp/kaisyaan/press/prs250306.html)
トンネル向けの理由

湾曲構造のトンネルでも鉄筋の本数や位置を正確に把握。誤差が出やすい曲面も「湾曲計測モード」で容易に測定が可能で、位置調整の手間が省けます。

トンネル内の天井が低い現場でも、検査機が軽量で分離構造のため、取り回しがスムーズ。足場の限られた狭所でも位置調整などに時間を取られず、効率的に検査ができます。

橋梁向け
橋梁工事向けに
開発された

自動配筋検査AIシステム

JFEエンジニアリング公式HP
引用元:JFEエンジニアリング公式HP
(https://www.jfe-eng.co.jp/dx/case-2.html)
橋梁向けの理由

ドローンを撮影に活用することで、高所作業を伴う橋梁検査の作業負担を大幅に軽減。手作業中心の検査に比べて、約75%※4の省力化を実現したという事例もあります。

これまでの測定方法では難しいPC橋や鋼床版の複合構造にも、AIを用いた画像解析で対応可能。橋長全体の検査・記録が効率的になり、検査品質を向上させます。

※1 2025年9月時点
参照元:プライム ライフ テクノロジーズ公式HP(https://www.consait.com/
共同開発に参画したゼネコン21社:青木あすなろ建設株式会社/ 株式会社淺沼組/ 株式会社安藤・間株式会社奥村組/ 北野建設株式会社/株式会社熊谷組/ 五洋建設株式会社/ 佐藤工業株式会社/ 大末建設株式会社/ 髙松建設株式会社/ 鉄建建設株式会社/ 東急建設株式会社/ 戸田建設株式会社/ 飛島建設株式会社/ 西松建設株式会社/ 日本国土開発株式会社/ 株式会社長谷工コーポレーション/ 株式会社ピーエス三菱/ 株式会社松村組/ 村本建設株式会社/ 矢作建設工業株式会社
※2参照元:プライム ライフ テクノロジーズ公式HP(https://www.youtube.com/watch?v=ryLovLWmvz0&t=7s
※3参照元:三菱電機エンジニアリング公式HP(https://www.mee.co.jp/kaisyaan/press/prs250306.html
ただし過検出を含み、撮影条件等によります。
※4参照元:JFEエンジニアリング公式HP(https://www.jfe-eng.co.jp/news/2020/20200909.html

配筋検査システムおすすめ3