配筋検査は誰がいつするもの?工事監理の視点で解説

目次

建築工事の品質と安全を確保するうえで、配筋検査は欠かせない重要工程です。特に、設計図通りに鉄筋が施工されているかを確認するこの検査は、工事監理者の視点が強く求められる場面でもあります。

本記事では、工事監理の立場から見る配筋検査の意義や実施タイミング、関係者の役割分担について解説。検査を実施する前に、それぞれの役割に求められる内容を確認しましょう。

配筋検査を担う関係者と
その役割

配筋検査は、コンクリート打設前に行われる工程です。一度コンクリートを打設すると修正が困難になるため、建物の品質と安全性を確保するうえで欠かせません。この検査は、以下のような方がそれぞれの立場で役割を担い、連携して実施されます。

工事監理者

工事監理者は、建築士法に基づき配筋が設計図通りに施工されているかを確認する責任を持つ立場です。鉄筋の径や間隔、本数、かぶり厚さなどをチェックし、施工者の自主検査記録も照合します。

全ての打設前に立ち会うのではなく、要所で確認を行い、問題があれば是正を指示。さらに、施工者からの質問に対して専門的知見に基づき判断し、配筋指針や国の基準を参考に状況に応じた調整を行います。

施工業者

鉄筋の組み立てを担う施工業者は「配筋検査を受ける側」ですが、品質管理の観点から自主検査を実施します。検査に関わるのは、鉄筋を施工する「専門工事業者(鉄筋工)」と、現場全体を統括する「ゼネコン(元請け)」です。

監理者による検査前に「配筋チェックシート」を活用して寸法や配置の不備を入念に確認し、第三者からの指摘を未然に防いで施工ミスのリスクを減らします。さらに、施工業者は「ミルシート」や「納品写真」で正規品の使用と品質管理を証明し、「配筋写真」の撮影によってコンクリート打設後には見えなくなる鉄筋の状況を記録として残します。

第三者機関

建物の安全性を客観的に評価する役割として、第三者機関も配筋検査に関与します。代表的な機関は、指定確認検査機関や行政機関、JIO(日本住宅保証検査機構)など。

これらの機関は、認定検査員を現場に派遣し、目視による配筋状況の実査を行います。書類確認だけではなく、実際の現地確認が義務付けられている点が特徴です。検査後は報告書が作成され、「適合」または「是正後の適合」の判定がなされた場合に限り、正式書類として承認されます。

施主

施主自身が配筋検査を行うわけではありませんが、建物の品質を守るうえで重要な立場です。通常は、工事監理者や第三者機関に検査を依頼し、その結果の報告を受けて工事の信頼性を確認します。

例えば、使用される鉄筋のミルシートや配筋写真など、品質を裏付ける資料を通じて施工状況を把握することが可能です。施工者や監理者は、施主に対して客観的に説明できるよう、検査記録や証明資料を整備しておく必要があります。

また、配筋検査の記録は建築基準法や住宅瑕疵担保責任保険のルールに基づき、新築住宅の場合は引き渡し後も原則10年間の保存が義務付けられています。写真・報告書・是正記録は電子データで整理し、必要に応じて施主や検査機関に提示できる状態にしておきましょう。

ヒューマンエラーのリスクを
避けたいなら配筋検査システムの
導入がおすすめ

配筋検査には、監理者・施工業者・第三者機関・施主といった多くの立場が関わり、それぞれの役割に応じたチェックが行われます。建物の品質と安全を守るために重要な工程ですが、現場では人の目や経験に頼る部分も多く、ヒューマンエラーのリスクを完全にゼロにするのは難しいのが実情です。

こうした課題を解決する手段として注目されているのが「配筋検査システム」です。写真の自動解析やデータの一元管理などを通じて、検査の品質向上と効率化を同時に実現できます。

本サイトでは、14社の配筋システムを調査し、おすすめの配筋検査システム3選をご紹介しています。検査品質の向上や効率化を目指す企業の方は、ぜひ参考にしてください。

※2025年6月19日編集チーム調べ:「配筋検査システム」とGoogleで検索をして表示された配筋検査システムを提供する会社を選定

配筋検査のタイミング

建物の安全性と品質を確保する配筋検査は、「いつ行うか?」が重要です。コンクリート打設後は鉄筋が隠れてしまうため、適切なタイミングで事前に確認する必要があります。

配筋検査は
コンクリート打設前に行う

鉄筋工事が完了し型枠や配管の設置がすべて整ったコンクリート打設の直前に行われます。このタイミングでなければ、鉄筋の配置やかぶり厚さ(コンクリート表面から鉄筋までの距離)を目視で正確に確認できません。

一度コンクリートを打設してしまうと、内部の配筋状況は確認できず、万一問題があっても修正は困難だからです。打設直前が基本的かつ重要な検査のタイミングといえます。

検査のタイミングは
工程ごとに複数実施

配筋検査は一度で完了するわけではなく、建築物の構造や工法に応じて複数回にわたり実施されます。例えば、木造住宅では「基礎配筋完了時」、RC造では「基礎」「床」「壁」など、構造部分ごとに検査が必要です。

工事の進捗に合わせ、あらかじめ工程ごとの検査タイミングを設定しておきましょう。

工事監理者が配筋検査に
立ち会うべきタイミング

配筋が完了し、コンクリートを打設する直前が検査に立ち会うタイミングです。具体的には、以下の条件が整った状態で行われます。

鉄筋が正しくコンクリートの中に埋まっているかを、目視で確認できる最後の機会です。鉄筋は、適切にコンクリートの中に埋まっていないとすぐに錆びて劣化する可能性があるため、この直前の確認が重要とされています。

工事監理者は設計者としての立場から、施工が設計通りに行われているかを確認しましょう。検査を通じて、不備があれば即時に是正を求めることが可能です。ただし、全てのコンクリート打設前に毎回立ち会うのは難しいため、1フロアに1回や重要な部分のみ参加するなど、現場によっては立ち会う頻度が異なる場合もあります。

JIOや検査機関による
第三者検査のタイミング

品質の確保と施工不良の防止を目的に、第三者の客観的な検査を実施します。住宅瑕疵担保責任保険に加入している場合、JIOといった保険法人が配筋検査を対応。

多くの場合、コンクリート打設前の「基礎配筋完了時」と「上部構造体配筋完了時」に検査を実施します。ほかにも、建築基準法に基づく中間検査として、確認申請を行った指定確認検査機関や行政が配筋検査を行うケースもある点を押さえておきましょう。

まとめ:
配筋検査は安心を生む多重チェック体制

配筋検査はコンクリート打設前に鉄筋が設計通り施工されているかを確認する重要工程で、工事監理者・施工業者・第三者機関・施主が連携して行います。工程が多く手間もかかり、ヒューマンエラーが生じることもあるため、防ぐ手段として配筋検査システムの導入も一つの手です。当メディアでは「商業施設向け」「トンネル向け」「橋梁向け」の3つの現場におすすめのシステムを紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。

【現場別】配筋検査システム
おすすめ3選

配筋検査とひと口に言っても、その方法は現場によって異なります。このサイトでは、商業施設・トンネル・橋梁といった、規模や構造に特徴がある現場別に、14社の製品からおすすめの配筋検査システム3選をご紹介します。

※2025年6月19日編集チーム調べ:「配筋検査システム」とGoogleで検索をして表示された配筋検査システムを提供する会社を選定

商業施設向け
ゼネコン21社※1
共同開発された建築対応型

CONSAIT Pro配筋検査

プライム ライフ テクノロジーズ公式HP
引用元:プライム ライフ テクノロジーズ公式HP
(https://www.consait.com/)
商業施設向けの理由

従来の検知技術では困難な奥行きのある配筋をAIカメラが正確に認識。精度の高い検査が必要な商業施設でも、熟練度に依存せずに検査ができます。

鉄筋量が多い大型・多層階の施設でもARスケールで楽に検査写真を撮影可能。画像検索機能や進捗確認の見やすさによって、探す手間を改善し作業時間を約4~5割削減※2します。

トンネル向け
湾曲面も
検出率約100%※3を見込める

Field Bar FB-200

三菱電機エンジニアリング公式HP
引用元:三菱電機エンジニアリング公式HP
(https://www.mee.co.jp/kaisyaan/press/prs250306.html)
トンネル向けの理由

湾曲構造のトンネルでも鉄筋の本数や位置を正確に把握。誤差が出やすい曲面も「湾曲計測モード」で容易に測定が可能で、位置調整の手間が省けます。

トンネル内の天井が低い現場でも、検査機が軽量で分離構造のため、取り回しがスムーズ。足場の限られた狭所でも位置調整などに時間を取られず、効率的に検査ができます。

橋梁向け
橋梁工事向けに
開発された

自動配筋検査AIシステム

JFEエンジニアリング公式HP
引用元:JFEエンジニアリング公式HP
(https://www.jfe-eng.co.jp/dx/case-2.html)
橋梁向けの理由

ドローンを撮影に活用することで、高所作業を伴う橋梁検査の作業負担を大幅に軽減。手作業中心の検査に比べて、約75%※4の省力化を実現したという事例もあります。

これまでの測定方法では難しいPC橋や鋼床版の複合構造にも、AIを用いた画像解析で対応可能。橋長全体の検査・記録が効率的になり、検査品質を向上させます。

※1 2025年9月時点
参照元:プライム ライフ テクノロジーズ公式HP(https://www.consait.com/
共同開発に参画したゼネコン21社:青木あすなろ建設株式会社/ 株式会社淺沼組/ 株式会社安藤・間株式会社奥村組/ 北野建設株式会社/株式会社熊谷組/ 五洋建設株式会社/ 佐藤工業株式会社/ 大末建設株式会社/ 髙松建設株式会社/ 鉄建建設株式会社/ 東急建設株式会社/ 戸田建設株式会社/ 飛島建設株式会社/ 西松建設株式会社/ 日本国土開発株式会社/ 株式会社長谷工コーポレーション/ 株式会社ピーエス三菱/ 株式会社松村組/ 村本建設株式会社/ 矢作建設工業株式会社
※2参照元:プライム ライフ テクノロジーズ公式HP(https://www.youtube.com/watch?v=ryLovLWmvz0&t=7s
※3参照元:三菱電機エンジニアリング公式HP(https://www.mee.co.jp/kaisyaan/press/prs250306.html
ただし過検出を含み、撮影条件等によります。
※4参照元:JFEエンジニアリング公式HP(https://www.jfe-eng.co.jp/news/2020/20200909.html

配筋検査システムおすすめ3