配筋検査と中間検査は、建築工事の途中で実施される検査であり、混同されがちです。しかし、実施主体や法的根拠、対象範囲は明確に異なります。本記事では、それぞれの検査の内容を整理したうえで、両方の検査にスムーズに対応するためのポイントを解説します。
鉄筋が設計図通りに配置されているかを確認するため、施工者による自主検査や工事監理者による確認などが行われます。コンクリート打設前に実施し、かぶり厚さや鉄筋の間隔、定着長さなどが基準を満たしているかをチェックします。
配筋検査そのものは、建築基準法上で単独の法定検査として明記されているわけではありませんが、住宅瑕疵担保責任保険の現場検査などでも確認対象となる重要な工程です。
建築基準法第7条の3に基づいて実施される法定検査です。建築主は、特定行政庁が指定する「特定工程」の工事を終えたときに、建築主事または指定確認検査機関へ検査を申請する義務があり、検査に合格しなければ次の工程に進むことができません(※1)。
中間検査制度は、阪神・淡路大震災の被害状況を踏まえて平成11年(1999年)に創設されました。その後、構造計算書偽装問題を受けて平成19年(2007年)には、3階建て以上の鉄筋コンクリート造共同住宅における床および梁の配筋工事が、全国共通の特定工程として指定されています(※1)。
このほか、特定行政庁が地域や構造の特性に応じて、木造の屋根工事や鉄骨造の建方工事などを独自に特定工程として追加指定しているケースもあります。
両者の主な違いを、実施主体や法的根拠などの観点から以下の表にまとめました。
| 比較項目 | 配筋検査 | 中間検査 |
|---|---|---|
| 実施主体 | 施工者(自主検査)、工事監理者 | 建築主事、指定確認検査機関 |
| 法的根拠 | なし(※瑕疵保険などで実務上求められる) | 建築基準法 第7条の3 |
| 対象範囲 | 現場ごとの鉄筋施工全般 | 特定行政庁が指定した「特定工程」のみ |
| 義務の有無 | 法律上の義務ではない(実務上広く実施されている) | 法律上の義務(対象の建築物・工程の場合) |
| タイミング | コンクリート打設前など | 対象となる特定工程が完了した時点 |
3階建て以上の鉄筋コンクリート造共同住宅など、中間検査の対象工程に「配筋工事」が含まれる建物では、配筋検査と中間検査が同じタイミング・同じ部位を対象に実施されることになります。
このようなケースでは、日頃の配筋検査で撮影・記録している写真やデータをあらかじめ整理しておくことで、中間検査の対応資料としてスムーズに活用できます。
計測データや検査写真、黒板情報をクラウド上で一元管理しておくことで、中間検査の申請時にも必要な資料を整理・確認しやすくなります。
特定行政庁が指定する特定工程は自治体や構造種別によって異なります。着工前に自治体の窓口や告示内容を確認し、どの工程が中間検査の対象になるかを把握しておくことが重要です。
配筋検査と中間検査は、いずれも建築工事における品質を確認する重要な工程ですが、実施主体や法的根拠、対象範囲は明確に異なります。
両者の違いを正しく理解したうえで、配筋検査システムなどを活用して記録を一元管理しておくことが、現場の負担軽減とスムーズな検査対応につながります。
Q. 配筋検査と中間検査は、同じタイミングで行うものですか?
A.
配筋検査はコンクリート打設前の鉄筋状態を確認する工程で、中間検査は法令や工事条件に基づき施工途中で行う検査です。
対象範囲や実施者が異なるため、工程表上で別々に確認しましょう。実際の判定や手続きは、設計図書、仕様書、発注者・監理者・検査機関の要件を優先します。着工前に対象部位、判定基準、立会い要否、是正時の承認者を確認し、検査記録と指示履歴を残せる体制にしておくことが重要です。検査結果と是正履歴を同じ管理番号で残すと、監理者や発注者への説明と後日の追跡がしやすくなります。
Q. 配筋検査に合格していれば、中間検査で配筋を見る必要はありませんか?
A.
中間検査の対象項目は地域・建物・工事内容で異なります。
配筋検査記録を利用できる場合もありますが、中間検査で求められる確認・書類を事前に確認することが重要です。社内外の合意を取りやすくするには、誰が確認し、何を基準に合否を判断し、是正後に誰が再確認するかを明文化しておくことが大切です。システムや外部委託を使っても、最終的な責任分界は工事条件に沿って確認しましょう。検査結果と是正履歴を同じ管理番号で残すと、監理者や発注者への説明と後日の追跡がしやすくなります。
Q. 同じ写真を、配筋検査と中間検査の両方に使えますか?
A.
必要情報と撮影条件を満たしていれば利用できる場合があります。
後から不足が分かると撮り直せないため、両方の提出要件を先に確認し、必要な黒板情報や撮影方向をそろえましょう。発注者や監理者へ提出する資料は、後工程で追加できない情報があります。必要な写真方向・寸法・識別情報・是正履歴をチェックリスト化し、現場撮影から報告書まで同じ管理番号で追えるようにすると確認がスムーズです。導入後は検査時間だけでなく、再測定や手戻りの件数も追うと、品質と効率の両面で効果を確認できます。
Q. 配筋検査システムの結果を中間検査へ提出できますか?
A.
発注者・確認検査機関などが求める形式に合えば資料として利用できる場合があります。
システム出力だけで十分か、写真や手計測結果の添付が必要かを事前に確認しましょう。導入判断では、対象部位・測定項目・必要精度・対応外条件・再測定手順を明確にし、従来計測との比較試験を行うと安心です。帳票作成時間や必要人員も測れば、品質を維持したままどこまで省力化できるかを説明しやすくなります。導入後は検査時間だけでなく、再測定や手戻りの件数も追うと、品質と効率の両面で効果を確認できます。
配筋検査とひと口に言っても、その方法は現場によって異なります。このサイトでは、商業施設・トンネル・橋梁といった、規模や構造に特徴がある現場別に、14社※の製品からおすすめの配筋検査システム3選をご紹介します。
※2025年6月19日編集チーム調べ:「配筋検査システム」とGoogleで検索をして表示された配筋検査システムを提供する会社を選定

従来の検知技術では困難な奥行きのある配筋をAIカメラが正確に認識。精度の高い検査が必要な商業施設でも、熟練度に依存せずに検査ができます。
鉄筋量が多い大型・多層階の施設でもARスケールで楽に検査写真を撮影可能。画像検索機能や進捗確認の見やすさによって、探す手間を改善し作業時間を約4~5割削減※2します。

湾曲構造のトンネルでも鉄筋の本数や位置を正確に把握。誤差が出やすい曲面も「湾曲計測モード」で容易に測定が可能で、位置調整の手間が省けます。
トンネル内の天井が低い現場でも、検査機が軽量で分離構造のため、取り回しがスムーズ。足場の限られた狭所でも位置調整などに時間を取られず、効率的に検査ができます。

ドローンを撮影に活用することで、高所作業を伴う橋梁検査の作業負担を大幅に軽減。手作業中心の検査に比べて、約75%※4の省力化を実現したという事例もあります。
これまでの測定方法では難しいPC橋や鋼床版の複合構造にも、AIを用いた画像解析で対応可能。橋長全体の検査・記録が効率的になり、検査品質を向上させます。
※1 2025年9月時点
参照元:プライム ライフ テクノロジーズ公式HP(https://www.consait.com/)
共同開発に参画したゼネコン21社:青木あすなろ建設株式会社/ 株式会社淺沼組/ 株式会社安藤・間株式会社奥村組/ 北野建設株式会社/株式会社熊谷組/ 五洋建設株式会社/ 佐藤工業株式会社/ 大末建設株式会社/ 髙松建設株式会社/ 鉄建建設株式会社/ 東急建設株式会社/ 戸田建設株式会社/ 飛島建設株式会社/ 西松建設株式会社/ 日本国土開発株式会社/ 株式会社長谷工コーポレーション/ 株式会社ピーエス三菱/ 株式会社松村組/ 村本建設株式会社/ 矢作建設工業株式会社
※2参照元:プライム ライフ テクノロジーズ公式HP(https://www.youtube.com/watch?v=ryLovLWmvz0&t=7s)
※3参照元:三菱電機エンジニアリング公式HP(https://www.mee.co.jp/kaisyaan/press/prs250306.html)
ただし過検出を含み、撮影条件等によります。
※4参照元:JFEエンジニアリング公式HP(https://www.jfe-eng.co.jp/news/2020/20200909.html)