AIを用いた配筋検査の自動化事例

現場の負担を軽減し、検査品質と業務効率の両立を実現する手段として注目されているのが「配筋検査のAI自動化」です。近年では、画像解析技術や3Dスキャン技術を活用した配筋検査システムの導入が進み、従来の手作業に比べて検査工程の大幅な省力化・標準化が可能になってきました。

本記事では、実際にAIを活用した配筋検査システムを導入した企業の事例を紹介します。

業務効率化と検査品質向上を
両立した先行導入事例

CONSAIT Pro配筋検査の事例

操作イメージ
引用元HP:プライム ライフ テクノロジーズ公式HP
https://www.consait.com/

CONSAIT Pro配筋検査の概要

プライム ライフ テクノロジーズが開発したAI搭載の配筋検査システムです。三眼カメラ搭載端末「CONSAIT Eye」と、帳票作成を支援する専用アプリケーションで構成されており、鉄筋の径・本数・ピッチを自動で計測する機能を備えています。

複雑な構造の商業施設の検査にも対応。撮影データからの帳票出力までをワンストップで行える点が特徴です。検査工程の所要時間を従来比で最大60%短縮でき、現場の省力化に貢献します。

CONSAIT Pro配筋検査を導入した結果

総合建設会社の安藤ハザマが施工した商業施設「LAGO大津」の新築工事で、配筋検査の全工程にCONSAIT Pro配筋検査が導入されました。

従来の目視・手計測・帳票作成といった各作業の工数が負担となっていた中、三眼AIカメラと専用アプリを組み合わせることで、配筋撮影から記録作成までを一体的に処理。配筋検査作業全体の時間が約80時間から31時間へと大幅に短縮しました。

また、外注(BPO)活用と比較しても約40%の時間削減効果が見られ、現場全体の情報共有もクラウド経由でスムーズに行えるようになりました。

※参照元:@Press(https://www.atpress.ne.jp/news/417741

Modely(DataLabs)の事例

Modelyイメージ
引用元HP:DataLabs公式HP
https://www.datalabs.jp/modely

Modelyの概要

iPadやiPhoneで取得した点群データをもとに鉄筋配置を三次元で再構築し、自動的に配筋検査を行うクラウド型システムです。

専用のハードウェアを必要とせず、汎用デバイスからのデータをクラウドにアップロードするだけで、鉄筋の径・本数・ピッチ・かぶり厚さなどをAIが自動判定。帳票も自動生成される設計です。検査作業の属人性を排し、全体で47%の時間短縮ができます。

Modelyを導入した結果

前田建設工業では、JR西日本発注の新駅工事における場所打ちコンクリート杭の配筋検査にModelyを導入しました。

従来は短工期下で多数の写真撮影・整理・帳票作成を必要とし、担当者の大半が検査作業に費やされていましたが、Modelyでは現場での点群スキャンのみで検査記録を生成可能。現場作業時間は鉄筋籠1本あたり約600分から195分へと約68%短縮。若手職員でも操作しやすいUIにより、人材育成や検査業務の標準化にも寄与しています。

Field Bar®の事例

Field Bar®イメージ
引用元:三菱電機エンジニアリング公式HP
https://www.mee.co.jp/sales/ict/aihaikin/usageimage.html

Field Bar®の概要

三菱電機エンジニアリングが開発した配筋検査支援機器で、AIとステレオカメラを活用して鉄筋の位置・本数・間隔などを自動検出するシステムです。

とくにトンネル内や湾曲面といった特殊環境での配筋検査を想定しており、「湾曲計測モード」や「分離型構造(ステレオカメラ部とタブレット部の分離)」を備えています。

広範囲撮影と軽量筐体によって、高所や狭所でも取り回しが容易に。従来困難だった仰角作業にも対応し、現場の安全性と効率性を高めるシステムとして活用されています。

Field Bar®を導入した結果

Field Bar®は、配筋検査の省力化と高精度化を目的として開発された配筋検査システムです。湾曲面や高所といった手作業による検査が困難な環境を想定しています。

湾曲面に対応する「湾曲計測モード」や、ステレオカメラ部とタブレット部を分離できる構造により操作性が向上。従来比で約2倍の広範囲検査と、約60%の検査時間短縮が可能です。

また、搭載されたAI技術「Maisart」によって、鉄筋の本数・径・間隔を高精度で検出。国土交通省が策定した「デジタルデータを活用した鉄筋出来形計測の実施要領(案)」に準拠した帳票出力や撮影画像の電子管理に対応しており、公共工事で求められる帳票要件や記録精度に即した仕様となっています。

現場条件に合わせた配筋検査システムを選びましょう

本記事で紹介した事例のように、実際に工数削減や属人化の排除といった成果を上げられたのは、それぞれの現場に適したシステムを選定・活用したからです。

配筋検査システムを選ぶ際は、対象構造や現場条件に合った選択が求められる場面は少なくありません。各製品の特徴や適用範囲を把握しておくことが、適切な導入判断につながります。 本サイトでは、現場条件別に厳選したおすすめ製品3選をご紹介しています。人手不足対策や検査の属人化排除を目的とした導入を検討中であれば、ぜひご参照ください。

【現場別】配筋検査システム
おすすめ3選

配筋検査とひと口に言っても、その方法は現場によって異なります。このサイトでは、商業施設・トンネル・橋梁といった、規模や構造に特徴がある現場別に、14社の製品からおすすめの配筋検査システム3選をご紹介します。

※2025年6月19日編集チーム調べ:「配筋検査システム」とGoogleで検索をして表示された配筋検査システムを提供する会社を選定

商業施設向け
ゼネコン21社※1
共同開発された建築対応型

CONSAIT Pro配筋検査

プライム ライフ テクノロジーズ公式HP
引用元:プライム ライフ テクノロジーズ公式HP
(https://www.consait.com/)
商業施設向けの理由

従来の検知技術では困難な奥行きのある配筋をAIカメラが正確に認識。精度の高い検査が必要な商業施設でも、熟練度に依存せずに検査ができます。

鉄筋量が多い大型・多層階の施設でもARスケールで楽に検査写真を撮影可能。画像検索機能や進捗確認の見やすさによって、探す手間を改善し作業時間を約4~5割削減※2します。

トンネル向け
湾曲面も
検出率約100%※3を見込める

Field Bar FB-200

三菱電機エンジニアリング公式HP
引用元:三菱電機エンジニアリング公式HP
(https://www.mee.co.jp/kaisyaan/press/prs250306.html)
トンネル向けの理由

湾曲構造のトンネルでも鉄筋の本数や位置を正確に把握。誤差が出やすい曲面も「湾曲計測モード」で容易に測定が可能で、位置調整の手間が省けます。

トンネル内の天井が低い現場でも、検査機が軽量で分離構造のため、取り回しがスムーズ。足場の限られた狭所でも位置調整などに時間を取られず、効率的に検査ができます。

橋梁向け
橋梁工事向けに
開発された

自動配筋検査AIシステム

JFEエンジニアリング公式HP
引用元:JFEエンジニアリング公式HP
(https://www.jfe-eng.co.jp/dx/case-2.html)
橋梁向けの理由

ドローンを撮影に活用することで、高所作業を伴う橋梁検査の作業負担を大幅に軽減。手作業中心の検査に比べて、約75%※4の省力化を実現したという事例もあります。

これまでの測定方法では難しいPC橋や鋼床版の複合構造にも、AIを用いた画像解析で対応可能。橋長全体の検査・記録が効率的になり、検査品質を向上させます。

※1 2025年9月時点
参照元:プライム ライフ テクノロジーズ公式HP(https://www.consait.com/
共同開発に参画したゼネコン21社:青木あすなろ建設株式会社/ 株式会社淺沼組/ 株式会社安藤・間株式会社奥村組/ 北野建設株式会社/株式会社熊谷組/ 五洋建設株式会社/ 佐藤工業株式会社/ 大末建設株式会社/ 髙松建設株式会社/ 鉄建建設株式会社/ 東急建設株式会社/ 戸田建設株式会社/ 飛島建設株式会社/ 西松建設株式会社/ 日本国土開発株式会社/ 株式会社長谷工コーポレーション/ 株式会社ピーエス三菱/ 株式会社松村組/ 村本建設株式会社/ 矢作建設工業株式会社
※2参照元:プライム ライフ テクノロジーズ公式HP(https://www.youtube.com/watch?v=ryLovLWmvz0&t=7s
※3参照元:三菱電機エンジニアリング公式HP(https://www.mee.co.jp/kaisyaan/press/prs250306.html
ただし過検出を含み、撮影条件等によります。
※4参照元:JFEエンジニアリング公式HP(https://www.jfe-eng.co.jp/news/2020/20200909.html

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